2002 TARGA TASMANIA Rally Report


今年は2度目のチャレンジで昨年の何も解らぬ状態と違いリラックスした気分でオーストラリア タスマニア島のホバート空港に到着。しかし 親友である川崎氏(TOYOTA SPORT 800)が出発前日に体調不良で参戦キャンセルになったのは何ともやりきれない。
今回,日本からの参戦は3台となってしまった。ホバート空港からレンタカーで数カ所のTS(タルガステージ)のペースノートを作りながらローンセストンホテルへ入る。愛車 DATSUN 240RS も無事先着し私を待っていてくれた。

今年のタルガタスマニアラリー参加車は257台であり 昨年の10周年記念(6日間)より少ない 5日間ラリーとなっている。コースは前年と異なり,新設コースが2ステージ追加と前回のコースを入れ替え組み合わせた 合計45のタルガステージ(TS)である。

ペースノート作成 : 2002年 4/14 日曜日(晴)

昨年はペースノート無しのぶっつけ本番,今思うと無謀であつたものだ(何も知らぬほど怖いものは無いとはこの事だ)1日で すべて(TS 1-45)を レキ出来る訳では無く 約 1/2程度のペースノート作成だった。
しかし このペースノートは実戦に即効果を発揮するものでは無いことは後で解ることになる。

車検 : 4/15 月曜日(晴)

シルバードームには大変貴重な車両が数多く展示されているが展示目的では無い,ベストコンディションに保たれ明日からの闘志を剥き出しにして走る為の前夜祭を楽しんでいるのだ。

このJAGUARのコンペティターは,最終日 TS-41  
Mt Arrowsmithで横転大事故を起す事になる。
1939年JAGUAR SS 100 →

PROLOGUE  TS-0  4.72km : 4/16 火曜日(晴)

海外からの競技者対象としたWelcom Breakfast(朝食)で 歓迎を受ける。午後は明日からの出走順番を決める為のプロローグであるがベストタイムを出す必要は無く むしろ足回りの感触を掴む走りで良い。

港町のジョージタウンと言う住宅街を閉鎖してタイム計測する訳だが スペクター(見物人)が多く自然とエキサイトしてしまう。
前回 雨でスピンした逆バンクコーナーもスムースに抜け まずは初日終了,新セッティングの足回りも まずまずの感触だが ・・・ ?

プロローグ アタックの 240RS   Prologue to George Town

帰途についた エンジンから小さな異音が ・・・ ? 車を止め確認するも原因不明 ? ・・・ 更に異音は大きくなる! 
  回転を2500rpm以下に押さえて帰着し,メカニックのチェック。 

大問題が ! ・・・ なんと,バルブスプリンが5本も折れ インテークバルブが口を開けたままである !!

プロローグでのエンジン オーバーレブが原因 ? 押さえて走るつもりが ・・・ タスマニアラリーの興奮で自制できなくなっていたのだ。
さて,エンジンが駄目となると明日からのスタートには参加出来ない(1年掛けて準備してきた甲斐が無くなってしまう) 大ショックである。
240RS エンジンFJ24は専用設計であり FJ20のバルブスプリングは短く合わない! 異国の地でお手上げ状態である。
しかし タルガオフィスの館内放送で 日本から来たコンペティターが困っている事を知った競技者・関係者が集まって来て 色々な情報提供を受けた結果,240RS エンジンを整備したメカニックがメルボルンに居る事を聞き出し問い合わせ ・・・
奇跡だ !!! ・・・ FJ24のバルブ スプリングを所有していたのである!急遽,空輸送付依頼することになった。
コンペティター仲間の一体感を感じさせられ 感謝の気持ちでいっぱいだ ・・・
折れて4個になったバルブスプリング Mechanic : Mr.Lou Molina

DAY 1 (TS1-8) : 4/17 水曜日(晴)

昨晩遅くの部品到着を待ち スプリング圧縮特殊治具の作成など徹夜作業であったが DAY-1 は参加出来ず苦渋の 1日であった。

DAY 2 (TS9-17) : 4/18 木曜日(晴・雨)

昨夜遅くに組立て完了したエンジンは慣らしの為の回転数を 6000rpmに押さえるよう指示があり,待ちに待ったDAY-2 のスタートである。今回もメカニックの努力には頭が下がる思いでいっぱいだ。
TS-9 から TS-14 までエンジン回転数を押さえ着実に消化して行く ・・・

TS-15 でアクシデント発生 ! 
Navigator のコーナーL7 情報で高速からの下り坂コーナー進入 ・・・ その瞬間,濡れた下り路面にリア タイヤがグリップを失い
横滑りしながら道路標識をなぎ倒しスピンアウト,後輪が空転し脱出出来ない。山間で人の気配も無く諦めかけたが ジャッキアップによる脱出を試みる事に ・・・ 脱出成功,しかしベース タイムを大きくオーバー (谷でなくて不幸中の幸い)
① 雨になるとタスマニア特有の地質で滑りやすくなるカマボコ路面
② 昨年とは同じ感覚では駄目でコーナーは安全率を高め慎重にしたほうが結果的に早・・・ これらは全て出発前に私のHome Pageのゲストルームで,私が発言していたことだ。しかし,これらはタスマニアラリーの雰囲気に完全に呑み込まれてしまい,且つペースノートを過信しすぎた結果ではないか?これが「タスマニアの魔物」なのか ?


TS-15 Cranbrook Spin Out 雨に濡れたタスマニア特有の山岳路面、この路面が曲者なのだ

DAY 3 (TS18-25) : 4/19 金曜日(晴)
     
2002 TARGA TASMANIA The Ultimate Tarmac Rally April 16 - 21 2002  TS-26 Hobart
スピンによるダメージ個所の応急修理,タイヤとホイールに挟まった砂利除去,アライメント調整,ブレーキエアー抜き,エンジンオイル交換,フロントホイールベアリングの増し締めなどの整備も終了し DAY-3のスタート,心配だったエンジンも快調である。
市街地路面と異なる山岳路面ではリアサスペンションがハネ気味でいまいちしっくり感がなく昨日のスピンの反省も有りリア タイヤのエアー圧を 0.4 下げる ・・・ 今日は全てのTSを無難に消化した ・・・ 実はこの無難に消化 ・・・ が難しい。
日本組のタルガ・タスマニア日本事務局の藤原車(ランエボⅦ GSR)は,クラッチすべりで苦戦
初陣の安藤車(CRX)はコーナーぎりぎりの攻めが裏目に出て舗装の段差にフロントホイールをヒットしタイヤ カットによるエアー漏れ。そのまま何とかフィニッシュしたがタイヤを2本購入する羽目になってしまった(減点対象となってしまう)
日本から応援に駆けつけた友人Mr.N氏が 要所々で大きなニッサン旗を振りかざしての応援は嬉しいものである。又その行動はオーストラリアの日産車コンペティター仲間でも話題となるほどである。

DAY 4 (TS26-35) : 4/20 土曜日(晴・雨)


相変わらずブレーキ加熱によるブレーキ性能が悪い状態が続いている ・・・ ブレーキパットの選定ミスか?更にシフトギヤーの入りが悪くなる ・・・ そして,名物ステージのロスタウン踏切越えの大ジャンプ  ・・・ 

またもやアクシデント発生 ・・・

この大ジャンプから「ストロー ブロックに突っ込む」シーンは その日の夜 タスマニア・テレビ ニュースで放映されることになった。
又このシーンは表彰式のパーティ ビデオでも放映され 一躍アクシデント・ヒーロー になってしまったので有る。

2002 TARGA TASMANIA Rally ビデオにこのシーンは更に詳しく収録されていて TARGA TASMANIA Rally の歴史の1ページに 愛車 240RS の生き々としたカットシーンと Mr.Hibino(Japan)が記録されたことに大変満足している。

そのビデオは 永久保存版として購入したのは言うまでもない。
     TS-28 Ross Town Jumping

LUNCH Break - Mole Creek
昼食事の休憩風景です ・・・ こんな雰囲気もタルガタスマニアラリーの楽しみです


   

DAY 5 (TS36-45) Goal : 最終日 4/21 日曜日(晴)


最終日,TS-41 は今回最長でハイスピード アベレージの 47.2kmである。
しかしコンペティター(1939年JAGUAR SS 100)の横転事故による救急出動となり 急遽 TS-41 はツーリング区間に変更されタイム計測対象外とになった。

最終日 TS-40 Queenstown Goalin →
2002 TARGA TASMANIA The Ultimate Tarmac Rally April 16 - 21 2002 戦い終えた各車が最終ゴールである カジノホテルへ続々と帰還。
今回も多くのクラッシュやリタイヤの難関を乗り越えゴールにたどり着いた各車を、ステージのスポットライトがその疲労度を大スクリーンに克明に映し出している。各車の紹介と金メダルを掛けていただき完走となる訳けだが 完走を果たしたドライバー・ナビゲーターの表情は満足感で一点の曇りも感じさせない

クラス 2位 (カテゴリー7)

【 考 察 】
今回も色々なドラマが展開されたが 完走の意義は大変大きなものがある。
そのゴールには この Rally 出発直前体調不良で欠場した 川崎ご夫妻(TOYOTA SPORT 800)が元気に顔を出したのである。
思いもよらぬエンジントラブルやアクシデントと戦いながら完走を果たした結果は
・・・ クラス 2位 !!

705  Dr.Hibino  Nav,Akiyama  カテゴリー7 改造車クラス 2 位
-  Fujiwara Nav : Yamazaki  カテゴリー8 無改造クラス 7位
-  Ando Nav : Otake  カテゴリー7 改造車クラス 1位
-  総合優勝 : 昨年同様 PORSCHE : Jim Richard  Nav : Baary Oliver

  



今回は TARGA TASMANIA Rally の奥行きを更に感じ取った 1週間であった。
それは過酷な5日間を走りきる為に オールドカーの耐久性に対する配慮,車両のセッテイグ(タイヤ選定とサスペンション)の難しさ,ナビゲーターとのコミュニケーション,そして精神力などまだまだ経験が必要であり これらの1つが崩れるとアクシデントに直結する事も体験した。
私としては美しい自然と町並み 空の青さの中を思う存分走り感動する為に,そして知り合った多くのコンペティターとの再会の為にもTARGA TASMANIA Rally 参戦目的を再考しなくてはならない。
それは,
1.参加することに意味があり TARGA TASMANIA Rallyを経験する
2.TARGA TASMANIA Rally を 愛車(クラシックカー)で楽しむ
  ・・・ これらの目的を明確にして それなりの準備を進めることが必要と思う


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